
皆様に参考となる資料を紹介するコーナーです。
お忙しい方でも、手軽にデータやトピックスにアクセス出来るように
工夫しています。
ご興味のある資料は検索してみて下さい。
- 「アフロバロメーターの調査」
- 【月刊アフリカニュースNo.111掲載】
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1)“Do Africans want democracy – and do they think they’re getting it”、
Afrobarometer、Joseph Asunka and E. Gyimah-Boadi、11月2日
Do Africans want democracy — and do they think they’re getting it?
| Afrobarometer 2)“Africans welcome China’s influence but maintain democratic
aspirations”、
Afrobarometer、Josephine Appiah-Nyameke Sanny and Edme
Salomey、 11月15日
ad489-pap3-africans_welcome_chinas_influence_maintain_democratic
_aspirations-afrobarometer_dispatch-15nov21.pdf
アフロバロメーターは1999年に創設された汎アフリカ研究機関で、自国の民主主義、
ガバナンス及び経済社会状況に関する国民の意識調査を定期的に行っている。
各国に対して同じ質問項目で対面調査を行い、国別の集計と、調査対象国全体の集計
を行っている。当初の調査対象国は12か国であったが、2019年から2021年にかけて
実施された最新の第8ラウンドの対象は34か国に拡大した。第8ラウンドは国別の集計
が終了しつつある段階。また調査結果を元に記事やブログを発表している。
今回は2本の記事を紹介する。
1)「アフリカの人々は民主主義を望んでいるか?彼らは民主主義に近づきつつある
と感じているか?」
アフロバロメーターは民主主義とガバナンスを中心テーマとしており、バイデン
大統領が主催する民主主義サミットにも参加する。過去10年間、アフリカの民主
主義が減退する兆候があり、さらにパンデミックはいくつかの政権に自由を制限
する口実を与えた。しかしアフリカの人々の69%は民主主義を最良の政治形態で
あるとしている。主な調査結果は以下のとおり。
質問項目 回答率 10年前の回答
民主主義が最良の政治形態だ 69% 73%
軍事政権を否定 75% 76%
一党制を否定 77% 78%
議会による大統領の監視を支持 67% 66%
大統領の任期制限を支持 77% 75%
選挙が指導者選出の裁量の方法だ 75% 83%
大統領は常に法と司法に従うべきだ 77% 67%
政府の任務は正しい仕事をすること
よりも、国民に対して説明責任を
果たすことだ 62% 52%
自国の政体は完全、もしくは少々問題
がある程度の民主主義だ 52% 54%
自国の民主主義に満足している 43% 50%
自国政府は汚職を抑え込んでいる 32% 36%
大統領は法と司法に従っている 56% 60%
これらの調査結果から読みとれるのは、民主主義や選挙という制度を支持するが、
選挙だけでは民主主義やガバナンスを保証することはできず、政府のアカウンタ
ビリティや市民の参加も必要だと考える人が増えたということだ。しかし政治の
実態は人々の期待に沿っていない。そこには民主主義に対する需要と供給のアン
バランスがあり、各国の政府は国民が民主的で効果的で責任ある社会に暮らした
いという希望に応えていない。
2)「アフリカの人々は中国の影響を歓迎する一方、民主主義への期待も維持している」
過去20年間に中国とアフリカの政治・経済関係は深まり、貿易量も110億ドル
(2000年)から1,920憶ドル(2019年)に増大した。アフリカへの最大のドナー
は依然として米国であるが、中国はインフラ建設への最大の資金提供者である。
しかし中国の投資やアフリカ諸国との関係は議論を呼び起こしてきた。中国は
アフリカを「債務の罠」に陥らせようとしている、あるいは資金提供を通じて
自国の政治理念をアフリカに広めようという疑いもある。ではアフリカの人々
は自国やその経済への中国の関わりをどう見ているのだろうか?2019年から
2021年にかけて行われた48,000人以上のインタビュー結果によれば、
* 33%の人々が自国の開発モデルとして最適なのは米国だと考えており、
中国は2位(22%)。中国が最良のモデルと考えている人が最も多い国は
ベニン、マリ、ブルキナファソ、ニジェール、ボツワナの5か国。
* 63%の人々が自国に対する中国の政治的、経済的影響を肯定的にとらえて
いる。否定的な見方は14%に過ぎない。この割合は米国もほぼ同様
(60%と13%)。
* 過半数(59%)の人々が、中国の経済活動は自国経済に幾分、もしくは
大いに影響あると考えているが、その率は5年前の71%から激減した。
* 中国が自国に無償資金や借款を供与していることを知っている人々は
47%に過ぎない。その中で57%の人々が、自国政府は中国から借り過ぎ
だと考えている。
* 開発モデルとして最適なのは米国か中国かという選択と、民主主義や
民主的規範に対する支持との間には相関関係がない。
* 最も重要な国際言語は英語だと考える人が69%であるのに対し、中国語
だと考える人は3%に過ぎない。
- 「アフリカ開発銀行によるサブ地域経済見通し」
- 【月刊アフリカニュースNo.110掲載】
-
North Africa Economic Outlook 2021 | African Development Bank
– Building today, a better Africa tomorrow (afdb.org)
East Africa Economic Outlook 2021 | African Development Bank
– Building today, a better Africa tomorrow (afdb.org)
Southern Africa Economic Outlook 2021 | African Development Bank
– Building today, a better Africa tomorrow (afdb.org)
West Africa Economic Outlook 2021 | African Development Bank
– Building today, a better Africa tomorrow (afdb.org)
Central Africa Economic Outlook 2021 | African Development Bank
– Building today, a better Africa tomorrow (afdb.org)
* 共通テーマは、“Debt Dynamics: The Path to Post-COVID Recovery”
- 「国際債務統計」
- 【月刊アフリカニュースNo.110掲載】
-
“International Debt Statistics 2022”、
World Bank. doi:10.1596/978-1-4648-1800-4
International Debt Statistics 2022 (worldbank.org)
* 低・中所得国への純資金流入量は前年に引き続き、2020年も減少した。
純債務流入額は前年比9%増加したが、純資本流入額が15%減少した。
海外直接投資は14%減少して過去10年間で最低レベルとなり、
ポートフォリオ資本投資は19%減少した。
* 低・中所得国への純資金流入の半分は中国向けである。2020年の中国への
純資金流入額は33%、純債務流入額は62%、純資本流入額は12%増加した。
中国以外の低・中所得国では純資金流入額は26%、純債務流入額は21%、
また純資本流入額は31%減少した。
* サブサハラ・アフリカの対外債務は2010年から2020年の間に、債務総額の
輸出比は76%から205%に、債務総額のGNI比は24%から44%に、債務返済の
輸出比は5%から22%にそれぞれ増加した。一方短期債務総額は16%から10%
に減少した。国際金融機関からの対外債務は19%から20%へと変化がなかった。
対外債務に対する外貨準備高は51%から21%に減少した。
- 「世界経済の見通し」
- 【月刊アフリカニュースNo.110掲載】
-
“Fostering Effective Energy Transition 2021 edition”
“World Economic Outlook 2021: Recovery during a pandemic – health concerns, supply disruptions, and price pressured”、
IMF、2021年10月
World Economic Outlook, October 2021 (imf.org)
* 新型コロナウィルス感染の再拡大にもかかわらず、世界経済の回復は続いている。
* ワクチンへのアクセスと政策的支援が鍵となる。雇用の頭打ち、インフレの亢進、
食料供給の悪化、人的資源蓄積の減退、及び気候変動など多面的な問題への対策
の余地は限られており、政策の選択は困難度を増している。
* 2021年の世界の経済成長率は5.9%、2022年は4.9%と予測されている。
2021年の成長率は7月の予測値よりも0.1%減少したが、その理由は先進国における
サプライチェーンの混乱と途上国における感染症の拡大である。
* 世界的なワクチンへのアクセスの拡大、経済困難に直面する国への債務削減、
気候変動の緩和と適応への多国間の取り組みが鍵である。
* 国レベルでは、政策の信頼性を保持しつつ最大限の雇用を維持するために、各国の
感染と経済状況に応じた独自の政策ミックスを継続すべきだ。
* ポストコロナ経済への準備が肝要だ。
- 「世界経済見通し:パンデミック中の回復、健康上の懸念、 供給混乱、物価圧力」
- 【月刊アフリカニュースNo.109掲載】
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“Fostering Effective Energy Transition 2021 edition”
IMF、2021年 10月
https://www.imf.org/ja/Publications/WEO/Issues/2021/10/12/
world-economic-outlook-october-2021
・世界経済の回復は続いているが勢いが鈍化し不確実性が高まっている
・世界経済は2021年に5.9%、2022年に4.9%上昇する予測。2021年予測は7月時点の予測から0.1%ポイント下方改定された。2021年の改定は、供給の混乱が一因で先進国の成長見通しが下方改定されたことと、パンデミックの状況が悪化したことが主な要因で低所得途上国の見通しが下方改定されたことを反映する。一次産品を輸出する新興市場国や発展途上国の一部において短期的な見通しが強まったことが、先の下方改定を一部相殺している。デルタ株の感染が急速に拡大していることや新たな変異株の脅威により、どれほど早くパンデミックを乗り越えられるかについて先行き不透明感が高まっている。政策当局者は、対策の余地が限られる中で難しい選択を迫られている。
(以上は本文からのコピー、図表は下記より参照して下さい。)
- 「効果的なエネルギー転換の促進 報告書 2021」
- 【月刊アフリカニュースNo.109掲載】
-
“Fostering Effective Energy Transition 2021 edition”
World Economic Forum、4月
http://www3.weforum.org/docs/WEF_Fostering_Effective
_Energy_Transition_2021.pdf
各国がクリーンエネルギーへの移行を進めることは、政治、経済、社会慣行も当然移行して行くが、その移行が不可逆的であることが保証されなければならない。115ケ国のエネルギー転換指数(Energy Transition Index、ETI)(本書 18ページ)を見ると、92ケ国が過去10年間に指数を改善しているが、僅かに10%の国が安定的に改善している。これは、次の10年の気候目標を達成するためには、新たな焦点と回復力の必要性を示すものである。
ハイライト;
1.世界平均ETIは、過去10年間の内8年間が改善した。
2.エネルギー転換においては、3要素(エネルギーアクセス、環境の維持、
経済開発と成長)のバランスが大切であるが、経済開発と成長が弱点である。
3.トップ10ケ国は、燃料燃焼による世界のCO2排出量のわずか3%を占めるに過ぎない。
4.115ケ国の内13ケ国が過去10年の間に安定した進歩を記録している。
5.新興国ではエネルギー転換のスピードが速い。