フォーラム

第12回大使を囲む懇談会開催

  • 清水駐チュニジア共和国大使を囲む懇談会
  • 清水駐チュニジア共和国大使を囲む懇談会 

    11月5日午後国際文化会館において、清水信介駐チュニジア大使に同国の最近の事情を伺う会を開催しました(会員の法人企業等からの出席者15名、オンラインによる参加者27名)。

    先ず清水大使より、同国の情勢について、以下の説明がありました。
    地中海に面する面積約16万平方キロ、人口1,169万人のチュニジアは、古くから文明の交差点としての性格を持ち、カルタゴ帝国として栄えた後、ローマ帝国の一部となり、ビザンチン帝国を経てアラブにより征服され、オスマン帝国の支配を受けた後、19世紀にフランスの保護領となったが、1956年、米国の支援を得て独立した。2人の独裁者(ブルギバ初代大統領とベン・アリ第2代大統領)の統治の後、アラブの春を迎え、2011年ベン・アリ大統領は失脚し、2014年に新憲法が制定された。その後イスラム主義政党のエンナハダが第一党となり、大統領選では無党派のサイード氏が圧勝した。世俗派とイスラム主義派の根深い対立のもと、権力分立から2014年制定の新憲法が機能不全に陥り、今年7月の大統領決定により、首相は罷免され、議会は停止し、立法権を大統領令で行使することとなった。9月、ブデン首相が任命され、新閣僚も任命され、政治改革の方向性が示されたが、経済・財政改革と国際社会の支持回復が急務であり、資金ギャップを埋めるため、IMFとの交渉が注目される。サイード大統領による一連の措置は国民の支持を得ている(支持率は現在70~80%)。
    経済面では、同国の主な輸出品は機械・電子機器、繊維、食糧品、リン鉱石等であり、輸出先はEU(2016年で74%)、次いでマグレブ諸国、アメリカ、サブサハラ諸国等となっている。人的資源の面では、同国はこれまで教育投資を重ねており、エンジニア、医師なども多く出している他、人口の一割が海外で働いており、その仕送り額も大。
    現在同国の大きな問題は、2011年の革命以後の経済の低迷、すなわち財政・貿易収支の悪化であるが、その原因は抗議活動の活発化による主要産業の麻痺、リビア内戦による同国との交易の中断、治安悪化による観光への打撃等によるものであり、アラブの春の唯一の成功例として欧米諸国が支援してきたが、コロナ禍によるさらなる経済悪化などもあり、困難が続いている。7月以降の経済では、コロナの沈静化(ワクチン接種率33.8%)による経済活動、観光の回復などがプラス要素であるが、政治情勢の不透明化による民間投資の停滞、欧米からのシンパシーの減少などはマイナス要因。
    今後の注目点は、大統領(と新首相)がいかに財源を確保し、社会の安定を導くことが可能になるかなどであるが、中長期的には、IMFの新規プログラム、世銀構造調整を梃子とした公的セクターの削減、民間セクター促進などが重要となることが予想される。日本との関係は、20社余りの日系企業が進出しており、日本はこれまで同国に、「アラブの春」以後の民主化・改革支援を行ってきた。また昨年12月には茂木外務大臣が同国を訪問しており、来年のTICAD8の同国開催への協力を確認した。TICAD8開催に向けて、同国ではチュニジア日本商工会議所がチュニジア・日本・アフリカ諸国間の三角連携を推進すべくロードマップを策定するなど、活発な動きを示している。

    次いで出席者より、チュニジアの周辺国特にリビアとアルジェリアとの関係はどのようなものであるか、モロッコには不安定要因があるが右へのチュニジア政府の態度はいかなるものであるか、アルジェリアとモロッコの間のガスパイプラインをめぐる緊張関係をチュニジアはどう見るか、同国の水分野への日本からのODA案件は下水処理を含んでいるか?現在同国の国会が停止しているのであれば、次年度の予算案審議は、どのようになるのか?チュニジアもその一員である、マグレブ連合の協力の枠組みは、実際に機能しているのか?来年チュニジアでTICAD8が開催予定であるところ円滑な開催へ向けてのハードルは存在するか、またもし存在するとしたらそれへの同国としての対応策はどのようなものか?現在チュニジアは多大の債務をかかえており外貨準備額も不足していると理解するところ、IMFの緊急支援が必要であるが、支援が可能になるまでに公的部門の削減を実行すると公務員の反発が予想されるなど困難点が存在するが、インフレ率を抑えつつ乗り切れるか?IMFとの交渉を軌道に乗せるには、財政支出の削減、大統領への権力集中の是正などが必要となるのか?リビア情勢特に12月の選挙についてチュニジアの見方はいかなるのものか、などの質問が出されました。

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