フォーラム

第9回フォーラム
「アフリカにおける金融と産業振興」
日時: 2018年8月6日(月)14:00~16:00
場所:国際文化会館 別館2階講堂
参加者:当協会会員、政・官関係者、研究者・学生など 35名。
モデレーター: 横山 正 アフリカ開発銀行アジア代表事務所 所長
パネラー: 近岡祐一 三菱UFJ銀行 経営企画部情報戦略室 室長、常峰健司 丸紅経済研究所シニア・エコノミスト

淺野副理事長による開会の挨拶のあと、アフリカ開発銀行横山所長にモデレーターとなって頂き、その後パネラーのお二方からお話しを頂いた後、フロアーと意見交換を行う形式で進行しました。
まずアフリカ開発銀行横山所長から、“アフリカの金融情勢の現状“に関するプレゼンがありました。アフリカでは、銀行口座の保有が少なく金融サービスの浸透率が低い、他方銀行口座を必要としないモバイル・バンキングが東アフリカを中心に広がっている、銀行セクターは急速に伸びており利益率も高いがまだまだ伸びしろはある。課題としては必要な資金と供給される資金にギャップがあり、特にアフリカ全体で500万社あると言われる中小企業は、雇用の58%、GDPの33%を占めているが、融資を受けているのは22%に過ぎず、金融機関との需給関係にミスマッチがある。今後海外からの公的援助が減少する中で、アフリカ側にも海外の民間投資を誘致するために、経済多角化を推進するなどの構造改革が急務となる、例えば規制環境の改善・賃金の助成等により貧困層のエンパワーメントや雇用創出、持続的な成長の為のインフラ投資などが求められるとのことでした。
三菱UFJ銀行近岡室長からは、“アフリカ金融取引の現状~問題点と可能性”
についてのプレゼンがありました。まずモバイル・マネーを含む金融口座の保有率は、ほぼ50%前後とそれほど低くはないが、金融機関の貯蓄利用率は低いこと、従い金融機関からの資金調達利用率は非常に低く借り入れ手段は親類・友人などからの借り入れが多いことが述べられました。さらに金融取引に関してはモバイル・マネーを中心に口座開設は拡大しているが、金融セクター・民間銀行による信用供与は他の地域と比較するとアフリカは南ア・モロッコなど一部の国を除くと余り増加していない傾向となっている。これらから見て、モバイル・マネーの普及は銀行ATMの少ないサブサハラ地域であくまでも簡便な決済手段としての利用であり、産業振興に必要な信用供与の創造には繋がっていないとのことでした。
 丸紅経済研究所の常峰シニアエコノミストからは、“金融政策正常化の影響と今後の可能性”と題してアフリカのマクロ金融環境に関するプレゼンがありました。
アフリカの経済は資源市況に左右されると言われるが商品市況が伸び悩む現状でもサブサハラは3%を超える成長を継続している、2023年にかけて多くの国で財政収支・政府債務は改善すると思われ外貨準備はアンゴラを除き改善傾向にある、但し赤字基調は変わらず、資金調達環境の改善に伴い自国通貨建ての国債発行が進み、特にナイジェリア・南ア・ケニアなどでこの割合は大きくなる。米国の金利が上昇するにつれ各国の金利も上昇傾向にあるがそれでも為替への影響は限定的、新興国への資金流入は米国金融環境の緩和が加速要因で国内要因は少ない。ビジネス環境は徐々に改善してきているが世界的には未だ評価は低い。2015年以降国家元首が相次いで交代し、特に長期独裁政権が終焉したが特に大きな混乱はなく総じて安定的な権力移行が進んでいる。他方腐敗認識指数は顕著な改善は見られず、今後の課題となっているとのことでした。
 その後、参加者の皆様との質疑・意見交換に入り、M-PESAが投資に向かう可能性(現在は決済手段であり投資には行かない)、海外居住者からの送金の主な使途は日常生活費か(経常収支で言えばその他移転収支に分類されていると推測される)、日本企業のアフリカに進出する機会及び分野は何か(電力インフラ分野であり、地熱発電用タービン・石炭火力脱硫装置・交通インフラなどが期待される)、中国企業の動きはどうか(国家企業であり資金返済が難しい場合は資源で回収できる強み、日本企業にも協調の動きがある)、アフリカ内部の資金をうまく活用できるか(株式市場の育成に尽くす人材が少なく、equity providerがいないなどの問題点がある)、など多くの分野について議論が交わされ、活気のあるフォーラムとなりました。
 フォーラム終了後の茶話会では、コーヒーカップを片手に議論の続きや意見の交換を5時近くまで行い散会致しました。

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