フォーラム

アフリカ協会主催 第3回フォーラム
「地域シリーズ第1回・東部アフリカ―消費財を通じて豊かな生活の実現へ」議事録

  • ■日 時:平成26 年11 月25日(火)15:00~16:30
  • ■場 所:国際文化会館 別館2F講堂
  • ■参加者:公的機関、民間企業など44名
当協会の大島理事長による開会の挨拶の後、モデレーターを慶應大学大学院 岡田正大教授にお願いして討議を行った。
  • 開会の挨拶(要約)/大島賢三理事長
  •  このたびアフリカ協会の理事長に就任いたしました大島でございます。初めての機会なので簡単にご挨拶をさせて頂きます。
    私は理事長として前任の堀内伸介さんの後を継ぐわけでございます。堀内さんの情報、知識、見識には及びませんけれども、私も外務省の人間でございますので、これまでの多少の経験を踏まえながらアフリカ協会の為にお役に立ちたいと思っております。宜しくお願い致します。
    本日は東アフリカにフォーカスをします。サブリージョンにフォーカスしたフォーラムとなりますが、今後アフリカの他のサブリージョンにも目を向け、場合によっては皆さま方のご関心も多いにお聞きした上で考えていきたいと思いますけれども、農業なり中小企業なりのセクターに注目したフォーラムも開催していければいいなと思っております。
    申し上げるまでもなくアフリカ サブサハラを中心に世界の関心、日本国内における関心も高まってきておるわけでございます。最後のフロンティアなどといろいろ言われております。アメリカも今年になりましてアメリカとアフリカの首脳会議、私はTICADのアメリカ版と思っておりますけれども、そういうことも開くような時代になりました。中国の進出等については十分知られているところでございますが、そういう世界の流れの中で、かつアフリカが持っている大変なポテンシャル、ここに日本がさらに食らいついていくということは時の流れであると私は思います。現に今日ご出席の企業会員の皆さま、あるいは個人会員の皆さま方もそういうことでアフリカに対する関心をますます深めておられると思います。そういう状況の中でアフリカ協会としましても非常に限られたリソースでありますけれども、これに携わっている人、それから今日ご出席の顧問、特別研究員の皆さま方には非常に熱心にこれを支えていただいておりますので、私どもはできるだけ皆さま方のご期待に添えるように努力してまいりたいと思っております。
    今日は第1回目の地域別フォーラムになりますが、ぜひ活発な議論、意見交換、情報交換が行われるように期待しております。
    • 1.モデレーター:慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授経済学博士 岡田正大教授のお話(要約)
    •  専門は企業戦略理論という分野です。実務的には本田技研やアーサー・D・リトルという戦略コンサルティング会社を経て、今現在は慶應のビジネススクールにおります。特に研究者の関心としては、企業戦略、つまり利益をいかに大きくしていくかというビジネスの活動と社会課題の解決がどうリンクするのかということが研究課題です。
      今回ご参加の方は、アフリカビジネスに関する相当専門性の高い方々、むしろそういう方々の知見を共有し、その結果が今後リリースされていくと理解しております。東アフリカの消費財市場にどう取り組んでいけばいいのかに関して、何らかの知見をここで導出できればと思います。

 

  • 2.パネラー:ロート製薬株式会社経営企画本部 グローバル事業開発 統括マネージャー鈴木浩二氏のお話(要約)
  •  ロート製薬では5年前にプロジェクトチームの形でグローバル事業開発というチームを作り、それ以来5名から10名ぐらいでグローバルの未進出の国へ事業を進めていこうということで進めていまして、ようやくアフリカまで到達しました。
    ロート製薬の名前は存じていただいている方が多いと思いますが、大阪の会社です。創業が明治32年なので今年で115年になるちょっと古い会社です。社員は5,500名強で、ブランドとしてはロート目薬の他にOXY、肌研、50の恵、サンプレイ、アクネス、スキンアクア、パンシロン、リップアイスなど色んなブランド名の商品を取り扱っております。
    ロートはメンソレータムというブランドも持っているのですが、メンソレータム社というアメリカの会社を買収しまして、現在の拠点は北米はカナダ、アメリカ、メキシコ、南米はブラジルです。東南アジアは特に多く、日本から始まって韓国、台湾、香港、中国、ASEANの10カ国とオーストラリアです。ヨーロッパは英国とポーランドに事務所があります。アフリカには南アフリカとケニアに事務所があります。南アジアはインド、バングラデシュで事業をしております。
    我々の事業領域ですが、製薬会社と名前は付けているものの、製薬という枠にとらわれず事業領域をもっと健康・美容というところに広げ、美の化粧品、癒しの医薬品、健康に資する健康食品、これを総合してウェルエイジングというような形で事業領域を広げようとしております。
    我々には経営理念があるのですが、一番に「私たちは、社会を支え、明日の世界を創るために仕事をしています」という経営理念を持っています。なぜアフリカへ出るのですかと言われたときに、会社としては「明日の世界を創るためだ」と経営的に言えるわけで、ここがなぜアフリカに行くのですかというときのバックボーンの一つになっています。
    企業理念で明日の世界を創っていくということで新しい事業に挑戦しています。今は新規事業で3つほどやっています。まずは医食同源としての健康産業への挑戦、次に最先端医療で再生医療への挑戦、そして新興国への挑戦ということではアフリカという形で企業理念を実現していこうと頑張っております。
    最先端の医療としては、再生医療研究企画部を新設しており、がん治療拠点を大阪で運営しようということも新規事業として取り組んでおります。今回のテーマであるアフリカのフロンティア開拓ということで、もう一つの企業理念の形として新しい地理的な拡大として取り組もうということでやっております。南アフリカにはメンソレータム社の拠点が従来からあったのですが、このたび東アフリカでもケニアに拠点を置いて活動を始めました。さらに西部アフリカにも進出していきたいと考えています。
    ケニアではどんな活動をしているかというと、代理店を用いまして、代理店の中に事務所を間借りしています。ここは東アフリカの開発拠点として活用していこうという意志があります。もともとケニアは旧大英帝国のイギリスを宗主国に持つ国で、我々はイギリスの子会社から商品を20年近く輸入していたこともあり、我々の一部商品がイギリス子会社経由で販売されていました。そこのネットワークを活用してケニアのビジネスをより広くしていこうというのが今回ケニアで行っていることです。ケニアの隣のタンザニアも現地訪問して市場調査をしています。エチオピアにも行って市場や生活スタイルも調査しています。
    その中でアベノミクスやアフリカTICAD Vなどの動きと合わせ、JICAさんの方でもいろいろなスキームを組んでいただいていて、今回はアライアンスフォーラム財団さんと一緒にジョイントベンチャーを組み、JICAさんのBOPビジネス連携促進ということでプロジェクトを進めています。これが「ケニアの余剰農産物を利用した高付加価値スキンケア商品事業準備調査」という長い名前になっています。簡単に言うと、ケニアで貧しい農家の方がいて、そこで農家の方は農産物を作るけれども流通や販売が不備だったり、あるいは保管技術がないために流通で腐ったりしますが、それをきちんと我々が腐らせずに流通したり、あるいは一部のものを我々が買い取らせていただいて、化粧品の原料とかに転用できるものがあればそれを転用して、我々がそこで商品を作り現地で販売することで現地の農家にも資する活動、我々のためにも資する活動ができないかという形でプロジェクトを組んで調査を始めました。
    想定する事業モデルは、アボガドの農家やパパイヤの農家から原料を取れないかとか蜂蜜を原料に使えないかということを考えながら、現地のNGOさんや企業さんを巻き込んで原料にしてそれで我々のノウハウを使って商品化できないか、というものです。
    なぜケニアに行くのかというのは、ケニアは東アフリカの周辺国の中でも経済力が突出して高く、データで言うと2008年の平均世帯当たりの支出がケニアは140ドル、ウガンダで90ドル、タンザニアでは12ドルとかなり差があり、ケニアの平均はかなり高いと。ケニアは購買力が高い分色んな市場も進んでいて、美容商品が並んでいたり、欧米からもたくさん商品が入っていたり、国民が若いことや高い美容意識があることもあってまずはケニアを選びました。
    活動ですが、社内では若い人を中心にチームを組んでやっています。大体20代後半から30代前半の人が中心です。現地では市場を見たり、若い女性の利用の行動様式を確認したりしています。うちのスタッフが現地の人がしているようなカツラを付け、頭にどんな感覚があるのかを試しています。アフリカの方は髪の毛がわりとちりちりしていて長く伸ばせないので、長髪にするためにはカツラを付けます。そのときに髪の毛がすごく引っ張られて痛いとのことでした。これは付けるのに2時間も3時間もかかるので、いったん付けたら毎日外すわけにはいかず、そうすると2週間か3週間ぐらいは付けっぱなしになるということで、そこに髪の毛や頭皮の問題が起こるのではないかと目を付け、そこで商品が作れないかという検討や調査をしています。
    あとは農産物の栽培現場に行き、どんな具合で栽培しているのか、どんな品質のものがどのぐらいの量取れるのか調査したり、あるいは現地の大学研究所に行き、どんな成分を抽出する能力があるのか、あるいは小さな試作装置があるのか見学調査をしたり、あるいは店頭でどんな商品がどんな価格で売られているのか調査をさせていただいています。
    若い人を中心に行っていますが、調査メンバーの声としては、「別の次元の世界という認識だったのが現地の様子を見聞きして、ビジネスパートナーとしての可能性を考えられるようになりましたとか、アフリカにいると社会、文化、人からパワーを貰って色んなことに挑戦したくなってしまう、社会課題に資するビジネスモデル確立に向けた今回の調査にわくわくしています」という感じです。社内でもどういう形でメンバーを選んでいるかというと、アフリカに行きたい人?と言って、はーいと手を挙げてそれで選んでいます。アフリカのビジネスを中期・長期で企業として取り組んでいこうとするとどうしても人材を育成しなければいけないので、そういうときに若い人を積極的に送り込むことで、人材育成的な一面も会社的にはあるということです。
    なぜアフリカや新興国に行くのかというと、冒険ということでベンチャースピリットが必要であり、成功するためではなく困難に直面して初めて人間は知恵が出てくるので、そこから気付くことでより人間的にも会社としても成長するのではないかということで、こういう側面も会社の中にはあるということです。
    今、イーストアフリカでどんなところを狙っているかというと、我々は消費財なものですからどうしても大都市が中心になってしまい、流通がなかなか行き届かない地方都市になると、まずはどうやってそこに商品を届けるかというところから始まり、どうやってお金を回収するかというのがなかなか難しく、まずは各国の大都市、首都圏を中心に進めています。行ってみて現実がそうだということを体感しているところです。次に西の方も行きたいと思っています。
    • 3.パネラー: アフリカビジネスパートナーズ合同会社 共同創設者 梅本優香里氏のお話(要約)
    •  ここ最近の東アフリカの消費財市場における動向をピンポイントにお話しさせていただきます。
      主にケニア市場の成熟化、サプライチェーンの変化、外国企業の動きという3つについてお話します。まずは市場の動きです。東アフリカとしてケニア、タンザニア、ウガンダ、ルワンダ、ブルンジ、エチオピアこれらの国々を見たときに、ケニアの消費市場の成熟化がこの5年ぐらいで非常に早いスピードで進んでおります。例えば、ナイロビやケニアの地方都市に限って言いますと、スーパーマーケットが普通のチャネルになっていて、その中の商品の構成が非常に充実かつ普通になっていて、日本のスーパーと何も変わらない光景になってきているという点があります。
      この写真はナイロビにあります「ウチュミ」というスーパーマーケットの店内ですけれども、おむつやトイレットペーパー等の紙製品ですが種類も非常に豊富になっています。もう一つ大きな変化が、以前はほとんどがヨーロッパや中東など外国からの輸入品だったのですが、現地生産品の割合が非常に増えてきています。スーパーによっては、プライベートブランドも販売するようになりました。かつ、現地生産品であってもパッケージや広告宣伝のクオリティーが非常に上がってきています。私はケニアでポテトチップスを買って食べるのですが、2012年ぐらいまでは現地で作っているポテトチップスはアルミ蒸着されてない透明のビニールに入っていましたが、それが一昨年(2012年)の暮れから去年(2013年)にかけて一気にアルミ蒸着のものに入れ替わり、フレキシブルパッケージが現地で導入されるようになりました。パッケージというのは、消費者の選好の成熟度にあわせて進化が見られる最たるものです。
      「ジャバ(Java)」はナイロビをはじめとして東アフリカ一帯にチェーン店を広げているカフェです。写真のような、こういうところでコーヒーを飲んだり食事をする人たちというのは、以前はお金を持っている人でしたが、ごく普通の人が食べるようになってきています。価格帯としてはジャバで食べると大体600円ぐらいします。食事に600円、コーヒーも飲むと1,000円ぐらい飛んでいくのですが、そういうところにごく普通のお金持ちでもない、いわゆる中間層の人たちが月に何回も食べに来るような状況になっています。
      例えばケーキ屋さん、コンフェクショナリーやパン屋など贅沢品の市場も広がっています。一方で、非常にみんな健康にコンシャスになっていまして、ヘルスケアや美や癒しというものの支出が増えている様子が町を見ていると分かります。この写真は「ヘルシーユー」という、日本でいうとドラッグストアと健康食品販売店をあわせたようなお店です。ここではナッツの量り売りが売られています。ナッツは体にいいものだとされているので。休日になるとジムで走って運動をして、朝はマラソンをするような人たちが増えています。ケニアの人たちが大好きな牛肉や山羊の焼き肉であるニャマチョマを食べるのをやめて、生活習慣病の予防のために白身の魚やウサギの肉を食べるといったようなライフスタイルを選ぶ人たちが、一般の人の中で生まれています。
      また、スマホが今はブームになっています。私はケニアで「サムスン」のSIMが2枚入るダブルSIMのスマホを買っていて、それが大体1万5,000円ぐらいです。私としては十分贅沢なものを買っているつもりですが、周りのケニア人を見ると3万円や5万円もするスマホを持っている状況です。私はスラムの定期的に通っていますが、スラムでも2万円以上するスマホを持つ人が目につくようになってきました。日本でもそういう時期があったと思いますが、ガジェットに夢中になっていて、「iPhone」になると6万円以上はしますが、iPhoneやスマホを持っているようなライフスタイルを送るためにお金を払う人たちが出現してきているのが見受けられます。
      化粧品の消費も増えていますけれども、欧米ブランドの1万円ぐらいする高いクリームもサロンで売れています。サロンでは先ほどロート製薬の鈴木さんおっしゃっていた髪の毛をきれいにするだけではなくて、マニキュアやペディキュアをしたり、ケニアでは男性もお金を持っている方はペディキュアをされています。そうやっておしゃれや自分の健康にお金を使うことが普通であり、そうしてないとかっこわるいという消費行動が広がってきています。
      また、それを支える流通が充実してきています。スーパーマーケットが店舗数を増やすのと同時に、専門店化というのも起こっています。これは電化製品の専門店です。スマホや液晶テレビが一番いい場所にあり、洗濯機やケトルなど、電化製品と言われるものは何でも売っている場所です。今まで電化製品は「ナクマット」などスーパーの電気売り場で買っていましたが、電化製品だけで専門店としてチェーン化する動きが始まっています。
      「ヘルシーユー」は輸入品の割合が多いですが、サプリメント、美容製品、健康にいいオイル、米などがあり、日本食も健康という分脈で置かれています。あとはプロテインやそういったものが置かれているようなお店です。これはちょっと健康に寄っていますが、日本でいうと健康に関するものがなんでも揃う、一種のドラッグストアで、ナクマットとかの店舗に専門店として入ってどんどんチェーンを増やしています。
      また、昨年からケニアに上陸したのが「ジュミア(Jumia)」というeコマースの会社です。これはもともとナイジェリアで始まった会社ですけれども、あらゆる商品、特に海外ブランドの衣料やそれこそガジェットをネット上の店舗で買えてお家まで届けるというサービスです。この「ジュミア」が始まってから既存の小売も自社のeコマースを始めるようになり、例えばこういう家電や健康食品の専門店自体も自社のeコマースを持っています。
      今までeコマースが広がってなかったのは理由があります。それは物を自宅まで届ける、個配の部分を効率的に成立させるのが大変だったというところです。倉庫を持って渋滞の中各家庭に時間通りに届けるのは大変で、それを行うようなクーリエサービスがきちんとなかったのですが、ジュミアは自社で物流網を持っていて、バイクや小型の車で運んでおり、こういった小口配送の効率的なノウハウが積まれてきています。小規模でクーリエサービスをやる専門の会社は前からありましたが、より効率的なモダンな方法でやる会社がでてきています。
      こうやってケニアの市場がすごい勢いで成熟化しています。消費者自体もそうですし、流通やそれを支えるインフラが成熟化してきていますが、それに対して周辺の東アフリカの国はまだまだ追いついてない状況で、市場の消費者の消費行動を見ていると、タンザニアでは5~6年ぐらい、ウガンダになると8年ぐらい、エチオピアになると15年ぐらいケニアの後ろにいる感覚があります。そういった感じなので、ケニアの特に流通企業や製造と流通をやっているような消費財の企業がどんどん周辺の東アフリカに進出するという流れがあります。こちらに「ケニアの南ア化」と書きましたが、南アというのはすでに自国が成熟して消費市場が飽和しているので、どんどん周りのアフリカの国に出ていっていて、南アの企業と話をすると「アフリカ進出をしないと」と言います。南アもアフリカだとは思うのですが、周辺のジンバブエやザンビア、モザンビークというのはほとんど南アの流通に牛耳られているような状況になっていますが、東アフリカにおいてもケニアが南アの立場でどんどん周辺の国を支配していくというか、ケニアのモダンリテーラーが広域化していく動きが進んでいます。EAC(東アフリカ共同体)といっても、これまでは現地の人とモノの動きはあったとしても、実際に日本企業が効率的にコントロールできる形でモノをこの共同体の国々の間で流すことは難しかったのですが、ようやく本当に国を超えてモノを流通させられるようになってきました。
      こちらはケニアのスーパーマーケットの他の国への進出状況ですが、数としてはまだまだ少ないようには見えますが、ウガンダにはすでにケニアのスーパーマーケットが18もあります。ルワンダにも「ナクマット」が2店舗出しましたし、タンザニアの大きなショッピングモールにはウチュミが入っています。タンザニアは南部アフリカと東アフリカの接合点ですが、南から南アフリカのスーパー「ショップライト」が進出していたところをケニアの「ナクマット」が買収して、ナクマット圏がまた広がりました。タンザニアにもケニアのスーパーマーケットがすでに8店舗あるという状況になっています。
      これは言い換えるとケニアが非常にコンペティティブになって飽和してきているという裏返しでもあります。ですので、ここ最近の外資系の消費財企業、特に製造と流通を両方やっているようなところやローカルの製造業は、ケニアではなく他の国で新たに事業を始めるという動きがみられます。例えば、ユニリーバはタンザニアでの紅茶の製造に今後力を入れていくことをすでに発表していますし、ロレアルはケニアで非常に大きな存在感がある企業で、ロレアルに似たような商品を作ってくるローカル企業が現れるとすぐに買収してロレアル帝国を作っていますが、最近ロレアルが力を入れているのはタンザニアでありエチオピアです。また、ケニアのローカル製造業も人件費の安さやインセンティブの多さを理由としてエチオピアに製造業を移したり、域内進出というのが始まっています。つまり、飽和したケニアから他の周辺アフリカへの拡大が始まっている状況です。
      こういった状況ですけれども全体のサプライチェーンを見ていくと、物を作って物流させて、マーケットで売ってという全体を見ていくと、マーケットの方は好調ですけれどもやはり物流や回収、決済というところはまだ非効率な部分が多く残っています。港に関しては、モンバサはずいぶん効率化して物が入れやすくなり、モンバサからナイロビの間の陸送も夜に出発すれば朝には必ず着くというような感じになってきていますが、もう2つある東アフリカの代表港であるダルエスサラームとジブチというのはやはりまだまだ非常に非効率で、ダルエスサラームに至っては物が入るか入らないか見込みがつかないところが多いですし、エチオピアの主要港であるジブチも、ジブチ港までは着くのですが、さまざまな課題からジブチからエチオピアまでの陸送が非常に非効率で、物流業者間の競争がなかったりということが原因で、時間は読めないし費用も高いという状況になっております。もちろんモンバサやダルエスサラームから入れたもう一つ先の内陸国であるウガンダやルワンダになると物流費も高いですし、行程が増えれば増えるほど不確実性が増えていき、平気で1カ月や2カ月遅れるのが現状です。 また、回収のリスクがまだある点も大きいです。これは「ウチュミ」のようなモダンリテーラーだろうが起こります。ローカルのキオスクのような小型店舗になると、まだまだ現金決済でないと商売ができない状況にあります。
      次の「外資企業の現地生産化」については、政策的に工業化を進める動きにより、完成品の輸入関税の引き上げの動きがケニアやエチオピアで起こっています。外資の製造業企業にとっては、物を輸出し販売することが、ただでさえ物流費がかかるところに高関税によってコストが合わなくなるという状況で、マーケットをとるために現地生産に切り替え始めるという動きが見られます。
      このように、マーケットが成熟し活発化していても、従来と同じようにリスクや難しい点が残っています。しかし、そうはいっても、日本以外の外資企業を中心として、マーケットを攻めていく姿勢は全く弱まってない状況です。そもそも外資の消費財企業やサービス企業がアフリカ事業をどうとらえてそういう積極姿勢でいるのかを見てみると、特に消費財企業というのは早くでて行って市場のマインドシェアを取ることを強く意識しているように見えます。つまり、現時点で採算が合う、合わないというのはそれほど重要な事柄ではなく、まずはマーケットを押さえ1番になり、他の進出企業やローカル企業ができたら、どんどん買収して出る杭は打つという姿勢で事業をやっている消費財企業が多く見られます。採算が合うようになってさまざまな企業が事業ができるようになる前に、一番になっておくのです。
      消費財の場合は当然ですが、現地の人々の行動様式や購買行動というものに則して物を作ったり売っていったりしなければいけないので、経験値やR&Dの必要性が非常に認識されていると思います。ですので、消費財企業もただ物を売るだけではなく、開発拠点をケニアが多いですけれども、アフリカに置いている企業が多くあります。
      あともう一つ決定的に彼らの中に刻まれていると思うのは、恐らく地図を広げて見ているというところです。グローバル市場の中で自社がどういう企業になるかということを考えていくと、人口が多いアフリカというのは消費財企業にとって外すものにはならない、ロジカルに考えて対象外にはならないわけです。例えば、ロレアルの目標というのでよく公表されているものとしては、今後の5年から10年後に10億人の顧客にアクセスするというものです。10億人にアクセスしようと思うとアフリカを外すわけにはいかない。こういった目標ありきで事業をされている企業というのは、アフリカの今の難しい現状があっても積極的に出ているということが見られるかと思います。
      こちらがアフリカで事業を行っている消費財関連企業です。皆さんもうご存じだとは思いますが、代表的なグローバル企業でアフリカに出てない企業は今やもうない状況になっています。マーケットが伸びていく中でそういう外資系がどんどん頑張っているというのが今の東アフリカの現状だと思います。
    • 4. フォーラムの討議
    • モデレーター・岡田教授
    •  まずはロートの鈴木さんですが、事業の地理的な拡張対象としてアフリカへ到達してきているというお話でした。鈴木さんには2点ほど伺いたいことがあります。
      まずは全社の中でのアフリカ事業の位置付けです。いわゆる既存の本業のポートフォリオの中で、アフリカでのビジネスを、例えば事業規模やリスクリターンという感覚からどう位置付けていらっしゃいますか。たぶん具体的数値はなかなか明かしていただけないかとは思いますが、感覚的なもので結構なのでそれを伺いたいです。次にウィッグの話が出ていましたが、例えばカネカさんはすでに付け毛やウィッグで東アフリカで活動されていますが、そうした企業との戦略的提携は可能性があるのかどうか。
      また梅本さんのプレゼンを拝聴して、普通の市場として、まさに日本企業や多国籍企業が東南アジアや中国へ進出したり、はたまたあえて踏み込んで言えば、北米市場や欧州市場へ行く感覚でマーケティング、セグメンテーション、さまざまなリサーチが可能であるという、普通の感覚でビジネスを推進していける状況が少なくともケニアにはもうあって、それをどんどんケニア発で拡張していくという認識を持ちました。
      一方で梅本さんに伺いたいのは、逆にケニアが先進国市場化しているというか、極めて近代化しているとすると、企業の社会責任として、例えば知財権をどう守るかとか、製造分野であれば産業廃棄物に対する規制や環境負荷など、企業がきちんと社会的・環境的に負の影響、インパクトをもたらさないという(欧州型定義の下での)CSRのようなものは先進国並みに要求されてくるのか、伺いたいです。鈴木さんからお願いします。
    • 鈴木 浩二ロート製薬㈱経営企画本部 統括マネージャー
    •  リスクですが、先ほど私が出したプレゼンテーションで中国や東南アジアに進出したということがありましたが、例えば中国には1984年に進出して、89年に天安門事件があり、90年代は少しずつ伸びてきましたがそれほど大きな成長はありませんでした。2000年代に入って高度成長を始めて、今や日本を抜いた経済大国になりました。中国の場合は中国のGDPに合わせたように我々の事業も伸びていき、2000年代以降は急速に伸びました。
      それがなぜできたかというと、やはり1984年の時点で入っていて、その変化についていけたということがあります。ベトナムに関しても1996年に進出したのですが、そのときはちょうどドイモイというベトナムの経済開放運動みたいなものがあり、そのドイモイの直前ぐらいに入り、ドイモイでベトナム経済が伸びるときに我々の事業も現地で伸びていきました。そういう経験があるので、アフリカの現在の成長がどんなものかというと、まだ絶対額では小さいですが、過去の中国や東南アジアの経験では、やはり5年、10年は待たないと果実が実らないという経験をしているので、そういう意味ではマネジメント的には長期的な視野で取り組みをしているというのが率直なところだと思います。
    • モデレーター
    •  カネカさんとか他社との連携はあり得ますか。
    • 鈴木 浩二ロート製薬㈱経営企画本部 統括マネージャー
    •  他社との連携とも考えています。カネカさんとも何度か会っています。我々はヘアケア商品をやっていて、カネカさんはヘアーがありますから一緒に何かできたらいいなという話はしています。
      日本企業同士でアフリカまで行って足を引っ張っていてはしょうがないので、本当の大きな競争相手は欧米や中国、インドなどの企業にあるわけで、そういう意味ではもっと日本企業は連携してもいいのではないかと、行く国が新興国であればあるほどそう思います。
    • モデレーター
    •  梅本さん、お願いします。
    • 梅本 優香里アフリカビジネスパートナーズ合同会社 共同創設者
    •  まずはCSRについてですが、アフリカのローカル企業、そしてアフリカで事業をやっている外資企業の社会貢献意識は非常に強いと常々感じています。やはり社会的に許さないところがあると思うのですが、ある程度規模が大きくなってお金が儲けられるようになった企業は、コミュニティーや人々に対して何もしないというのはあまり許されないことだという文化があるように思います。なので、大きな企業はどこも何かしらやっています。
      それは本業の中でやっていることもあります。例えば、農業資材の販売会社であれば、主な顧客は大規模農家ですが、小農向けの安いパッケージ商品を売り出したりしています。小規模農家から代金は取りますが、非常に廉価で販売していて、その原資に寄付金も入っていたりしています。また、例えばサムスンなどは有名ですけれども、子供にパソコンを提供したり、教室をもったりというのを、電気のないところでも使えるようにと屋根にソーラーパネルを積んだPCトラックを地方まで走らせたりということもやっています。
      日本の企業も、特に消費財でビジネスをやるならば最初の段階からどうやって社会貢献をしていくかというのは考えなければいけないことになるだろうと思っています。
      また、知財や廃棄物、その関連で言うと労働環境などに関しては、残念ながらローカル企業を回っている感じではまだまだという感じはあります。私の認識ではケニアは日本の70年代ぐらいという感じがしています。恐らく70年代というのは日本も大きな経済成長時代であり、環境や労務、知財といった面では今だったらしないようなことをしながらどんどん成長していった時期だと思います。ケニアおよび東アフリカには一応規制があったりしますが、まだまだきちんと守られてなかったりするところはあります。
      MDGsのこともおっしゃっていましたが、70年代であるという感覚は都市のライフスタイルと地方や農村のそれとに非常に違いがあるという点でも似た感じだと思っています。今は日本では地方に至るまで消費行動の差というのは非常に少なくなっていますけれども、今のケニアおよび他の東アフリカはすごく差があります。そういったところも含めて考えると、知財や労働環境といったところに関してはこれからというふうに見ております。
    • モデレーター
    •  それでは、お二人のプレゼンテーションに関して参加者の皆さま方からご指摘、ご意見、ご質問などがございましたら、どうぞご自由によろしくお願いいたします。
    • 坂田 泉OSAジャパン 会長
    •  スキンケアの商材を作っていて非常に私は面白いと思っています。どうやってそういう着想を得たのかなと思います。余剰農作物に何かそういう効能があることを知っている人がそういうアイデアを作ったのか、あるいは現地に行って自分たちの技術は分かっているわけですが、現地に足を運んでこういうことがあるのではないかとお気づきになったのか、どういうふうに見つけたのかということにちょっと関心があります。
    • 鈴木 浩二ロート製薬㈱経営企画本部 統括マネージャー
    •  ケニアに今派遣している社員が30歳の女性ですが、JICAさんの海外青年協力隊OGを採用させていただきまして、ケニアに2年間住んだことがある経験者でした。社内でアフリカに行きたい人と言っても、アフリカに住んでまで行く人はそういないので、そのためにJICAさんで鍛えられた人材を採用して、それがたまたま若い女性でした。その方に社内では1年ぐらい、日本側で会社のことを勉強していただいてからケニアに行っていただいています。
      彼女が現地に行くに当たって、現地でも2年間の海外青年協力隊としての経験もあり、このような実態があるけれども、自分の今の会社で何かできることはないかと。農業で農作物が結構捨てられていて農家の人がかわいそうだから何かできないかという単純なところから始まり、こういうことはできませんか、それではやってみましょうかということで始まったものです。
    • 奥村 宗弘アフリカ協会 監事
    •  お聞きしたいのですが、社会経済的に考えてどんどん若い子が伸びてきたというときの若い子は20代、30代を指すのでしょうか、それとも30代、40代ですか。ケニアでどんどんスマホが売れたりするというのは。それが一つです。
      もう一つは、エンジニアリング商品みたいに人間が向こうへ行ってやるお話と、お薬やそういう消耗品をやることについて両先生に一言で結構ですから教えていただけたらと思います。
    • 鈴木 浩二ロート製薬㈱経営企画本部 統括マネージャー
    •  アフリカが伸びていると言うので我々も大きな期待を持って行っているのですが、そこの部分は夢と現実をきちんと見ていかないといけないと最近思っています。ルワンダに2カ月ぐらい前に行きましたがルワンダもすごく伸びていて、20年前に大虐殺がありましたが、その後は奇跡の経済復興を遂げています。行ってみると町はすごく落ち着いて平和で、アフリカのスイスと呼ばれるような町になっていて、非常に過ごしやすい場所でしたが市場規模で見るとかなり小さかったです。伸びてはいるけれども、さっき言われたナクマットというスーパーが進出していて2軒ありましたが、そこが首都でした。それ以外はほとんどスーパーがないような感じでした。伸びているけれども絶対額はどうなのかという視点はちょっと外せないのかな、そこの部分は現実を見なければいけないと思っています。
    • 奥村 宗弘アフリカ協会 監事
    •  もう一つ質問があります。ちょっと切れたところで終わってしまったのですが、私が申し上げたかったもう一つは、こういう活動の中でテロという言葉が正しいのかどうかは分かりませんけれども、怖いことが今起こっているとして、現在は梅本さんはどんな感じでいらっしゃって感じておられますか。大変関心のある事件といいますか、よろしくお願いします。
    • 梅本 優香里アフリカビジネスパートナーズ合同会社 共同創設者
    •  テロに関わらず他にもさまざまな治安のリスクはありまして、それに関しては恐らくここにいらっしゃる皆さまはいろいろな海外でお仕事をされていらっしゃる方ですので同意いただくと思うのですが、どちらかというと日本が異常に安全だと思っています。日本にいると鞄が開いてようが財布を落とそうが何とかなると私もぼんやり過ごしていますが、そういう意識のまま行っては危険な状況になるのは事実だと思います。ですので、治安リスクを避けるための色んな情報収集や行動パターンを私も身に付けて気をつけて過ごしています。
      先ほどからケニアのナイロビの話をよくしましたけれども、ナイロビはやはり治安が悪いのは事実で、私もほとんど道を自分の足で歩くことはないですし、例えばドライバーにせよ確実に信頼できる人を確保したり、そういった工夫はいろいろしております。
      テロに関してですが、治安の悪い地域によくいるとテロだけがそんなに怖いわけではないといいますか、もっと身近で頻度の高い危険がたくさんあります。実は今年の夏前ぐらいに目の前でテロが起こったのを目撃したことがあり、目の前で見たがために、逆に程度がよくわかったことによる安心感がありました。ウエストゲートで2013年秋にあったテロは非常に大規模でよく計画されていたものですけれども、ナイロビでよく起こっているテロはもう少し小規模で技術的にも低いものです。日本ではニュースになりませんが頻発しています。そういったものは今の段階ではまだ、威力としても大きいものではありません。報道を通すと実態が見えづらくなりますが、遭遇する確率と遭遇した結果のインパクトを冷静に測る必要があります。
      ただ、テロの技術も年々上がってきていて、爆発の威力や巧妙さが上がってきていますので注意は必要だと思っています。ケニアの新聞などを念入りに見ていると、非常に頻繁に未然に防がれたテロのニュースや起こってしまったテロのニュースが多くありますので、そのあたりを注意して見ておいていただけると感覚が掴めるのではないかと思います。
    • 内藤 智博鹿島建設 海外土木部部長
    • 私たちは建設業としてODA関連の海外工事が主となります。アフリカを大別すると宗主国で言えばフランス語圏と英語圏がございまして、物を作っていくときに3つ問題になります。それは何かというと、「基準、スタンダード、」建設構造物を構築する際にこの基準がどうなっているかで全然変わってくる面がございます。「流通」では資機材の搬入等がございますので、このルートがちゃんと確立されてないと非常にお金が掛かり事業費に大きな影響を与えます。近年はTICAD Vの関連で整備されてきていますので、少しずつ良くなっていくのでしょうか。3つ目は「法的な整備」です。これが被援助国内で整備されてないと非常に問題が出ます。お二方が今まで色んなマーケティングをなさっていく中で、こう3つの問題をどのようにクリアしていったのかという点をお伺いします。
      最後にもう一つ。アフリカでは貯金に関して非常に遅れているおり、今まで(下層階級の人々は)預金をするということがなかったと思われます。ここに来て先ほどの携帯電話の流通で、(アフリカには)韓国のサムスンや中国製などもっと安価なものが沢山市場に普及してきました。それで中間層や下層階級の人たちも携帯電話を持つ機会が多くなってきている中で、実際にどのような形で収入を得て預金をしているのか、その辺の現状を教えていただければと思います。
    • 鈴木 浩二ロート製薬㈱経営企画本部 統括マネージャー
    • 私どもの業界の基準というと、医薬品とか化粧品を取り扱っているので、それに関する工業規格や医薬品規格があるのですが、それが結構不整備だったり曖昧だったりして、我々のものを持っていくとどこにカテゴライズされるか分からないと。カテゴリーがなくて自由に入れられるということであればいいのですが、間違ったカテゴリーに当てはめられて、これでは駄目ですと言われたことも以前にありました。それで他国の事例を持っていきながら、こういう国ではこうでした、おたくの国の基準の当てはめ方は間違っていますみたいなやり取りをして、そんなこと何カ月もかかったりして時間を無為に過ごしてしまったところが実際にあり、これはなかなか難しい問題ですが、それも含めてフロンティアに挑戦していくということかと思っています。
      流通に関しては私どもはあまり知見を持ってないので、現地でそこをきちんとできるいいパートナーを見つけることが我々には一番重要だと思っています。それは幾つもパートナー候補を探して、直接会って現地に行って話をして、信用できそうな人を自分たちの目で確かめて選ぶので、その成果はこれから出てくるかと思います。
    • 梅本 優香里アフリカビジネスパートナーズ合同会社 共同創設者
    • 最初におっしゃっていた法整備、物流、スタンダードというところは、一言で言うとカントリーリスクの高い国が多いということで、現状としては本当にその通りだと思います。カントリーリスクが高い国は2種類ありまして、例えばエチオピアやルワンダみたいに政府が非常に統制を利かせていて、政府が白と言ったら白だみたいな国だと、商売をやっている方としては自由に動きづらく、その枠内で動かなければいけないという意味でのやりづらさがあります。例えばエチオピアなどでよく起こっているのは、土地を500ヘクタール借りたいと言っているのに政府がから無理やり3,000ヘクタールを押しつけられて収益が成り立たなくなったり、そういう例はよく起こっています。
      また一方でケニアなどはどちらかというとその逆なのですが、コントロールが利いてないが故に色んなカオスな部分があり、今、鈴木さんがまさにおっしゃったみたいに、曖昧で何かよく分からない中で賄賂の1つでも払えば早く済むかもしれないけれども、それをせずに日本企業がコンプライアンスを効かせてやっていくにはどうやればいいかというような難しさのある国もあると思います。
      カントリーリスクを何か起こったときにそれをヘッジするための方法はいくつか存在していますけれども、カントリーリスクがある中でどうやって利益を上げて効率的にビジネスをしていくかというのは、やはりアフリカがまだ途上国である以上、途上国というのは非効率な場所だということと同義ですので、なかなかまだすぐに解決策はないと思うのが一番適切だと思っています。その中で確度をあげるいい方法としては、パートナーの善し悪しで状況ががらっと変わることはとてもあって、さきほどあげられた物流などでもそうですね、どこを使うかによって物の入り方やスピードが全く違ったりします。どのローカル企業がいい企業なのかというのは外からは見えないのがまた難しい点ですが、それを小まめに探して見つけていくしかないと思っています。
      もう一つの預金というところですが、まずおっしゃった中で、お金がないと買えないとおっしゃっていたのですが、お金がなくてもみんな買います。そこが日本とは大きく違うところです。預金という言葉もおっしゃったのですが、私はあまり預金をしている人は見たことがありません。お金を持っている人は投資をします。今は不動産などがたくさん投資物件として出ていますので、不動産を買ったり車を買ったりして投資しますし、みんな預金をする前にローンで物を買ってしまいます。
      彼らの収入源としては、定職に就いている人は給与ですが、それ以外は色んな方法でお金を得ています。また、お金が入ってくるルートがさまざまあり、入ってきたときにすぐ買ってしまいますし、いいかえるといま持っているお金でものを買います。あまり月の収入がこれで、生活に掛かるお金がこれで、余剰がこれでという考え方はしてないように思います。日々のキャッシュフローで全部物を考えていて、お金が入ったときには全部使う、お金がなくなればどこからか集めてくる、そういう生活スタイルがメインかと思っています。また、スマホに関しては贈与も結構多いです。先ほどよく女性がねだるみたいなことを言いましたけれども、あげたり貰ったりというのがよく見られます。そういうような状況かと思います。
    • モデレーター
    •  今回は東部アフリカという地域に限定した議論を意図的にやってみましょうという集まりですので、特にここまでの時点で東部アフリカに特殊な重要な話題ということだと、先ほどのプレゼンで梅本さんがおっしゃっていたケニアの南ア化というのは重要なポイントだと思います。
      結局その話は2つに分かれていて、1つは広域化ということです。ケニアをステッピングストーンにして東部アフリカ全体へ浸透していく動きがすでに始まっています。ちょうど私がタンザニアにディーライトデザインというソーラーランタンの会社に2010年に取材に行き、2012年にまた行ったらもうタンザニアを畳んでケニアに引っ越していました。ケニアに移ってケニアからまさに広域市場向けの卸売に特化するというビジネス業態の転換を目のあたりにしていて、それと非常に符合したので大変印象に残りました。
      あともう一点は、東部アフリカでの消費財市場での動きでケニアを中心として見過ごせないのは、いかに早く入っていって、いわば青田買いをしてマインドシェアを上げていくかという点で、これは消費財では極めて重要であり、ロレアルをはじめとして外資はそういったことに非常に注力しています。これらは東部アフリカで進行中だということです。
      ちょっとファシリテーターとして話題を少しずつシフトさせてみたいのは、やはり東部アフリカにもある種所得の二極化というか、格差が極めて甚だしいわけで、日本企業がその市場へ浸透していくときに、ロレアルのようなタイプの業態でいかにマインドシェアを拡張していくかということに邁進することももちろんあるでしょうけれども、一方でさまざまな社会課題があることも事実であり、そういったことにどう営利企業として参画していくのか。例えばホールピラミッドといいますけれども、いわゆる中間層、富裕層の事業を続行させつつ、一方で極めて低所得の層に対してもビジネスを通じて入っていく方法もあるわけで、ちょっと語弊があるかもしれませんが、日本企業ならではというか、より全方位的に出ていくこともあり得ると個人的には考えています。
      特に開発課題という視点からとらえると、あえて事業機会と申しますが、どういう事業機会があるのかということで、特に東部アフリカに特殊な社会課題の解決を、営利企業が時に富裕層ボリュームゾーンビジネスと組み合わせつつやれる機会があるのかどうかについて、何か知見をお持ちの方がいらっしゃれば伺いたいです。
    • 布目 正浩丸紅金融・不動産部門部長付
    •   ケニア人の生活というのはメイドさんとかそういう低所得層の人でも確かに携帯電話はみんな持っています。あそこのサファリコムなどはイーペソという決済方法がありまして、銀行の店舗はなしに携帯のプリペイドのキャッシュフローの中で少額の決済はできますし、為替も問題なく、そういうのは利用してやっています。
      それから20年、30年前でもウチュミというスーパーマーケットがあって、何でも基本的には物がありました。お米もちゃんとイタリア米があって日本飯みたいな味がして食べられました。ですから、アフリカを見る場合では消費財が別にないわけではなく、現に流通していて、日本のものもドバイから入ってきているので、別にそこに企業が進出しなくても流通しています。問題は市場の規模とかがどう伸びていくかということの問題であって、一般論ですけれども、大きくなれば自然に日本のメーカーさんも当然増えると感じます。
      それと南アのスーパーというのは、東アフリカも含めいくつかすでに出ていっています。ドバイからしか東アフリカに入ってなかった消費財が今は南ア経由で出ています。南アの場合は製造も食品から薬品から全部というのが全体感という気がします。
      テロの問題ですが、今はイラクやイスラム国に目が行きがちですが、ソマリアのアルシャハーブやアルカイダという連中は別に撲滅されていませんので、いつウエストゲートのようなことがいつ起こってもおかしくない状況にあると思います。ですから、いろいろと消費財系で動かれる方もテロを含む治安については十分注意された方がいいと思います。
    • 玉川 雅之アフリカ開発銀行 アジア代表東京事務所長
    •  東アフリカということでお二人にお聞きしたいのですが、東アフリカでは例のイーストアフリカンコミュニティーが出来上がったのですが、消費市場から見たコミュニティーの出来上がりというのはコミュニティーがあるかないかでどう違うのか観察しておられますか。
    • 鈴木 浩二ロート製薬㈱経営企画本部 統括マネージャー
    •  私どもの商品ですと医薬品の場合は各国で医薬品の規制があり、それを統合するのはなかなか先進国でも難しく、ましてやアフリカでは難しいというのもあって、あまりそれは我々の商品では期待してないところです。
      その一方で、アフリカの業者にとってあまり国境は関係なく、売れるところに物を流すという感じで、我々はさっきイギリスから商品をケニアに流していると言いましたが、我々が感知してないウガンダやルワンダにすでに流れていて、商品を持っていったらみんなが知っていると言うわけです。どこから買っているのかというと、ヨーロッパの問屋さんから買っているとか、ケニアに行って買い付けているという話もありました。売れるものは目ざとい業者が国境を越えて売っているという実態もあり、逆に言えば、これからは我々が正規に販売していこうと思ったら、そういうところをどうやって管理するのかも一つの課題になると思っています。
    • 梅本 優香里アフリカビジネスパートナーズ合同会社 共同創設者
    •  何年も前から、東アフリカはEACがあるので市場はひとつに捉えられる、1.4億人いるのだということを言ってはいましたが、ローカルの人と物は国境に関係なく動いてはいますが、それを外国の企業としてコントロールした状態で、流通・物流を実現できるかというと、できない状態でした。何か知らないけどケニアからじわっと物が流れていっているという状況があっただけでしたが、ここ最近になってようやくモダンリテーラーがきちんとした流通という形で、ケニアから周辺の国に物を流しますという状況になってきたので、日本企業にとってもEACというのを一まとめに見られる時期がようやく近づいてきたかと思っています。
      ただ、実際問題東アフリカというふうにまとめて言いますけれども、ケニアの人、タンザニアの人、ウガンダの人、ルワンダの人、エチオピアの人は全く物の考え方とか、行動様式が違いますし、社会も違います。市場の成熟度合いもばらばらです。消費者は実態のところ、一様ではありません。
      あと、アフリカは実は何でもあるところであって、ないのは何かというと、やはり効率です。経済が成長するというのは効率化していくということなので当然ではありますが、例えば製造をしたとしても生産効率が非常に悪いとか、物を輸入してくるにしてもコストが掛かり過ぎて値段が下げられないとか、それらは全てビジネスの観点からすると効率が悪いということかと思います。
      ですので、色んな必要とされているものがある中で、さきほどの開発課題、事業機会とうい点についていいますと、これはお金を持っている人にもお金を持ってない人にも裨益することだと思っていますが、効率化を進めていくという観点があると思います。私は日本企業は、効率化を進めてきたこれまでの過程において蓄積してきたノウハウやビジネスのモデルや経験を持っているので、それが十分に今の東アフリカおよびアフリカでは活用できると思っています。そうやって効率化していくと人をたくさん雇用できるようになったり、安価で物を普及できるようになったりというところにつながっていって、日本企業なら、今まで経済成長してきた過程で身に付けた効率化というものをアフリカに持っていくというのは一つのやり方ではないかと思っています。
    • 野口 勝国際開発アソシエイツ
    •  経済性、経済力を高めていくということは市場をどう育てるかという流れです。色んな議論があります。ただ、基本は日本のメーカーの方が入って、そこで一緒に文化を含めて仕事のやり方全てをトランスファーしていって初めて自立化できるわけです。そういった意味で、ここ数年JICAの方が旗を振られ、JETROの方も動かれまして、アフリカ開発銀行の方もJICAさんと色んなプログラムを組んでいます。
      私が今日お願いしたいと思っているのは、色んな機会を見ていてもセミナーに参加して終わってしまう、紙を出して終わってしまう、何が残ったかなと。私はアフリカ協会さんなどはそういうときの非常に良いプラットフォームになるのではないかと思います。例えば、ロートさんなどは素晴らしいです。日本の企業がアフリカみたいな所に出て行くに当たっての一つのショーケースです。このお話だけでは終わらせたくありません。
      もちろん企業秘密はございます、経営の考え方もあります。だけれども間違いなくアフリカへ行けるかな、行きたい、どうしようかという企業はいっぱいあります。中小企業2社をJICAさんのスキームでサポートしました。10カ月ぐらいケニアに張り付いてやりました。ものすごくやる意志はあるのですが、JICAさんのスキームというのは本当に時間が切られていますから、その後どうするかという所で途絶えてしまいます。
      私はせっかく日本の技術を以て、アフリカでもできる技術を持った企業のトップがやろうという意志を持っていても途切れてしまう。そういった人たちがまたこのプラットフォームに来て、皆さんとのコミュニケーションを介しながらその道を探っていく、そういった定常的なプラットフォームをアフリカ協会さんに設置して頂ければものすごく大きな波及効果が出てくると思います。
      もう一つの視点ですが、JICAさんには仰るように人材が豊富です。ものすごく素晴らしい優秀な青年協力隊OB/OGの方もいらっしゃいます。特にアフリカに人材という視点でのJICAさんの持っているネットワークやライブラリーにはすごいものがあります。
      もう一点はJETROさんです。JETROさんはパートナーの情報がものすごくあります。この業種はこういう企業が良いなど、間違いなくその辺のことはきちっと抑えていらっしゃるわけです。ただ、JICAさん、JETROさん、日本の企業というのは担当された方が3年、4年の人事異動で変わりますから、組織として担当された方の知見・経験・情報(ソース)等がキャピタライズされてない部分があります。だからこそこういうアフリカ協会みたいな所にプラットフォームを置いて頂いて、いつでもアクセスできるようにする。それもやはり問題をぶつける場として。そういう問題意識を持った企業はプラットフォームへ来れば、JICAさん、JETROさん、アフリカ開発銀行さん、アフリカ進出企業がありますし、ましてやロートさんもいらっしゃり、色んな情報へのアクセスがありますと。そういう形で本当に日本の企業がアフリカに出て行くためにサポートをする、そういったプラットフォームやファシリティを作って頂きたいです。
      また、梅本さんの所ではどんどん調べてくださるわけですが、それすら知りませんでした。こういった会社があること、こういう人がいるということすら出ていこうと思っている企業が知らないわけです。ですからどこかは別として、できればアフリカ協会の中にそういった定常組織的な、あるいは定期的な形のプラットフォームを置いて頂きたいと思います。
      • 玉川 雅之アフリカ開発銀行 アジア代表東京事務所長
      •  うちもちょうどTICADのフォローアップでアフリカビジネス振興ネットワーク、AB-NETというのをやって、色んな会社の動きというのと、全アフリカでどんな動きがTICADの後で日本で起こっているのかを見せてもらっていますけど、今回のロート製薬さんとかものすごく大きいメジャーな、例えば豊田通商さんが西アフリカで何千億円のお金を掛けて買ったとか、そういう大きな事件はまだケニアでは起こってないですが、非常に面白い動きがいろいろと起こっている場所であることは間違いないと思います。
        一つはケニアが今みたいにマーケットを通して成熟していることもあるのですが、ケニアの場合は50年日本と友好関係があり、非常に事務的ネットワークというか、ケニア人の側に日本人と一緒にやりたいとか組みたいとか、そういうことがケニアを中心に、今日はルワンダの方も来られていますけれども、日本語が喋れてパートナーとして組みたいという方たちがいらっしゃる中で、これから2~3年の間に色んなことが起こるとすればケニアで色んな例が起こってくるのではないかという感じです。
        例えば、ボランティアスピリットを持って、さまざまな意味でケニアに非常に面白いものを提供しようとしている方たちのBOP企業とか、逆にケニアの方からとか東アフリカから面白いものをたくさん日本に届けようとする方たちのBOP企業も出ています。流通はまだ残念ながらケニアの流通セクターを買ってやろうとか、そこまでのメジャーな動きは出てこなくて、西の方では豊田通商さんがカルフールと組んで60ほどの店をつくると言いましたが、たぶんケニアの東アフリカの方でもそろそろ商社さんとかで流通の部分や不動産にファンドとして入ってきて、まさに日本系列のショッピングセンターとかができてくるような動きができるのではないかという期待が少しあるような場所です。
        また、金融セクターとかITが非常に伸びている中にも、例えば直接的な形で日本の資本が入っていく動きも起こるのではないでしょうか。例えば、ケニアの金融セクターに入るなど。それから意外と多くの人たちが、これからは売るだけではなく工場もつくりたいということで、ケニア、タンザニアとかその辺に調査に行かれて、工場立地を考えていらっしゃる方も非常に増えているとか。それから片方では、確かにケニアにはドバイからいっぱい物が入っていますけど、ただ単に代理店ではなく、そろそろ東アフリカの展開を踏まえて一歩出てケニアに人を置いて、そこから東アフリカマーケットの動きができないかとか、安倍さんが今後はアフリカとおっしゃった中で、動いてきているのはケニアだと感じるところがあります。むしろ、おっしゃったようにそういう動きがなるべくシェアされて、こんなモデルもあるのかという形でアフリカ協会さんも役割を果たしていただければありがたいと思います。
  • 野口 勝国際開発アソシエイツ
  •  こういうときこそきちんとFSをかけておくべきであり、晴れて出発するときにはそれをアップデートすればいいわけです。ところが、残念ながら今はスタディーは入っているかもしれませんけれども鉄道整備はなされておらず、港湾だけがどんどん広がっていきコンジェスチョンするので捌きようがないわけです。
    今度は中国が物流の基地としてとてつもないポートを作ります。そういった物事を見るときに、全体をよく捉えた上で手を打っていくことが大事です。それは情報の共有と同時にJICAさんなり民間なりとのネットワークが噛み合って始めて、この国の物流で今は何が必要かという視点から投資をしていけばいいわけです。そういった捉え方をここに来ているJETROさん、JICAさん、民間それぞれに持っていただきたいのです。物流にしても投資をするわけですから、そういったものがきちっと積まれていけば、日本の流通業界にいらっしゃる方も、ソフトも含めケニアに出ていこうかという話につながっていくと思うのですが、やっていることはちょっとちぐはぐなことが多いので、ぜひこういうことも含めてプラットフォームを作って頂きたいと思います。
  • モデレーター
  •  この後は名刺交換と皆さんとの意見交換を今度はオフで進めていきたいと思います。それでは、ちょっと長引きましたけれどもラウンドテーブルを終了したいと思います。

 

    • 閉会の挨拶(要約)/淺野 昌宏副理事長
    •  当協会としては本日のような地域をテーマに絞ったものを継続してやっていきたいと思っておりますのでよろしくお願いします。
      次回の催し物のご案内です。1月15日に日仏会館と共同開催でWHOエボラ対策チーム長の進藤奈邦子先生の講演を予定しております。詳細は追ってご連絡いたしますのでまたご参加いただきたいと思います。

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